2017年1月9日月曜日

ウェリントンに住みたい で 思うこと


時々投稿するfacebookグループに、”ウェリントンに住みたいが、どう思うか”のスレッドが立った。
スレ主は、子供の小学校入学(数年後)に合わせて、ニュージーランドに親子留学したいらしい。
良くある話で、斡旋ブローカーの飯の種。
(スレ主が斡旋ブローカーを使うか否かは知りません。ボラれないよう願うのみ)

私の棲んでいる街で無いので放っておいたが、この類のスレッドには多くの人が反応する。
その多くは女性で、風が強いだの、湿気が多いだの、買物だのと、実生活に関する回答が多い。
そして、色々言った後で、”ウェリントンは良いところですよ”とか”私はウェリントンが好きです”で終わる。

この人たちは、そう思っているのだろう。
”住めば都”だから。
私も、”クライストチャーチはどうですか?”と問われたら”良いですよ”と答えるだろう。

しかし、続けて、注意点も伝えると思う。
注意点は、地震国だということ。
もう一つ、文化が日本と全く違うこと。つまり、ニュージーランドは日本の尺度で物事を計れないこと。ルーズで約束を守らなくても平気。咎めると謝らずに言い訳ばかりする。プロと称しても専門知識が乏しく、責任観念の欠落した人が多い。

希望に胸を膨らませている時にネガティブな事を言って水を差すのは気の毒だが、このまま放って置くより親切だろうと思って、上記2点を伝えた。
どれだけ理解したかは疑問だが、まぁ・・・親子留学は数年先なので、それまでに、おいおい勉強するだろう


ニュージーランドは自由な国です。
法規制でOKの地域であれば、どこにでも住めます。活断層の上でも、崖の傍でも構いません。
全て自己責任です。
でも・・・常にビクビクして暮らすのは嫌ですネ。



◇ウェリントンと地震について考えてみる。
ウェリントンは活断層の巣の上に在ります。

ニュージーランドはオーストリア・プレートと太平洋プレートの境界に有って、南島のカイコウラ付近から北(北島を含む)はオーストリア・プレートに、同南側は太平洋プレートに載っています。
従って、クライストチャーチ、ダニーデン、クイーンズタウンなどは太平洋プレート上です。

主な活断層は、南島のミルフォード・サウンド付近からサザンアルプス山脈の西裾を、同山脈に沿って北東に伸び、南島北部の街ブレナムから北島南部の首都ウエリントンに至っています。

昨年(2016)11月14日の地震はこの断層近くで起こった地震です。
(震源地:ハンマースプリングス東南約20km)
(地震の規模:M7.8 震源の深さ:15km)
ここは今も余震が続いています。
温泉地のハンマースプリングスやマルイアスプリングスもこの断層に沿った処です。

ウェリントンから先は、更に北東に伸び、ロトルアの東側に至ります。
出展:GNSホームページ

ニュージーランドは、首都を活断層の巣の上に何故持ってきたのか理解に苦しみます。
ウェリントンの街並み(地形)を見ただけで断層の街だと解ります。

それが解っているからか、ウェリントンの主要な建物は対策を講じています。
国会議事堂(ビーハイブ)や博物館(テ・パパ)は免震装置を入れて、建物への地震入力を軽減しています。
また、警察署は強度型の建物です。外壁四面に筋交いをデザインし、仮に横に倒したとしても潰れない様な丈夫さです。

従いまして、ここまでは良しとして、これ以外はどうでしょうか?
民間の建物がどれだけ耐震性能を有するか疑問です。
現に、11月14日の地震でウェリントンの民間建物に被害が出ました。震源から200km以上離れていても被害が出たので、直下型地震が来たらどうなるかは、素人目にも明らかです。
国会議事堂など主要な建物だけ震災で残ったとしても、他の民間施設が倒壊したら、都市機能はマヒします。

首都ウェリントンのベッドタウンとして、20kmほど北東にロワーハット、更に北東にアッパーハットがあります。
首都とベッドタウンのアクセスは、鉄道と国道2号線から1号線ですが、鉄道、国道ともウエリントン断層の上を走っています。
この断層が動いたら、アクセスが破壊され、首都は更に混乱します。

余談ですが、アッパーハットでは断層が地表に現れており、建築規制が行われています。つまり、断層部分を公園にして、立ち入りは出来るが、住むことが出来ないようにしてあります。断層は芝生で覆われていますが、フォールト・ラインの標識を建て断層だと示してあります。

断層の公園化は良いとしても、それ以外は非常に心もとないのが実情です。



耐震設計基準は日本に比べると非常に甘いと感じています。
クライストチャーチのCTVビルは捻じれ破壊により倒壊し、多くの犠牲者を出しましたが、それに学ぶ事なく、未だに偏心量の大きい建物を建てています。
(最近、CHCHの地域係数を0.22から0.30に引き上げたり、偏心量を少なくする新基準ができたらしいが・・・)

また、一般のニュージーランド人は耐震改修工事の重要性認識も薄いです。いや、認識しようとしません。
従って、民間建物の耐震改修工事などは皆無ではないでしょうか。

政府も、ニュージーランドは人口密度が低く、かつ、平家建て住宅が多い事から、大地震が起きても死者が少ないと予測して、50年や100年に一度起きるか起きない地震に対して厳しい規制を設けないものと思われます。







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